タワーマンションの競売案件が続いています。
今回お届けするのは、
THE TOKYO TOWERS (TTT)
勝どき駅を最寄りとするツインタワーマンションで、しかも53階の高層フロアーの部屋が競売となっています。
1.所在地
大江戸線「勝どき」駅より徒歩6分と至近です。
本マンションの竣工は2008年なのですが、当時働いていた会社の取引先より現地内見のお誘いを受けて社員みんなで見に行ったので非常に思い入れがあります。
58階建の住宅は竣工時最高層であり、また周辺の湾岸地域にタワーマンションが少なく、海と東京タワーを望める立地で感銘を受けましたが、湾岸地域が今のように発展するとは夢にも思いませんでした。
当時の販売価格は坪200万円と今となっては破格に安かったのですが、上述の湾岸地域の将来性を織り込めていなかった事、またそもそも購入資金がなかったので、真剣に考えず見送ったことを記憶しています。
2.競売物件概要
①THE TOKYO TOWERSについて
北側のMidタワーと南側のSeaタワーの2棟で構成されています。
またMidタワーの3階から30階までの813戸は高級賃貸物件となっています。
共用設備として、スポーツ施設(25メートルプール、ジャグジー、フィットネスジム、サウナ、ゴルフレンジ)、パーティースタジオ、屋上ビューデッキ等が備え付けられており、その他低層階に利便商業施設も入っているので生活利便性は非常に高いものと思われます。
②専有部について
53階の高層階で北西向きの部屋です。
3LDK90㎡のゆったりとした作りで、天井カセット型エアコンであることが、下の写真からもわかります。
また部屋は非常に綺麗に使われているように見受けられます。
なお、竣工当初はありませんでしたが北側に「勝どき・ザタワー」が2016年に竣工しており、53階建となっています。
本物件も53階であることからほぼ同じ高さでしょうから、それほど前建てが気にならず汐留・東京タワー方面のビューが確保できているのかが大きなポイントであると思います。
さて本件競売の背景ですが、㈱TBIの代表取締役とその家族の住居(社宅)として購入したとのことですが代取はその3年後に別居するようになり、引き続き家族が住んでいたところ、(有)ウインドフォールへ売買され、同社より退去請求された模様です。
なお、TBIからウインドフォールへ権利移転される際に抵当権の抹消がされておらず、今回の競売はTBIの債権者より競売開始決定がなされています。
通常、売買の前提条件として抵当権の抹消が必須であると思われますので、この2者間の取引についても「通常」ではない匂いを感じます。
3.入札価格査定
以上を基に今回の入札金額を査定していきます。
競売評価書においては、売却基準価格として7,600万円(279万円/坪)、競売減価(▲20%)前で9,500万円(349万円/坪)と評価しています。
最有効使用の判定としては、部屋の面積並びに現使用者の退去が可能であることから、自己使用が最有効使用と判断できます。
The Tokyo Towersの取引事例をレインズで検索したところ、
2021年度だけでも多くの部屋の取引事例を得ることが出来ました。
57階の超高層階の事例:410万円/坪がありましたが、その他はおおむね360万円/坪前後で階層・部屋の向きによって単価が異なってきているように見受けられます。
以上の事例を参考に、本物件は53階と超高層フロアーであることから本物件のマーケット価格は380万円/坪と査定しました。
次に入札参加者として、リニューアル業者等が入る余地(必要)はなく、エイドユーザーからの直買いが想定されます。
彼らの目線として、競売であることから少しでも安く変えることを期待して▲5%引いた361万円/坪:9,839万円での購入を前提に、競売仲介業者を介することによる手数料相当額・クリーニング費用・不動産流通税等を控除した
9,300百万円(341万円/坪)*基準価格✕1.22
と査定しました。
入札結果を待ちたいと思います。
仲田リアルエステート㈱
080-6631-3939
2021年9月8日追記
答え合わせの日を迎えました。
落札金額は、
1億1千万円(404万円/坪) *基準価格✕1.45倍
16名が入札し、法人が落札しました。
高層階によるプレミアムが乗っているのでしょうか?、参考となるとすれば、上述の57階の超高層階の事例:410万円/坪です。あるいは投資先としてのタワーマンションの人気により、日々価格を上げていっているという事なのかもしれません。
競売案件を追うことで、不動産価格の生きた動向を把握する必要があることを思い知らされた回でした。
仲田リアルエステート㈱
080-6631-3939
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