住みたい街NO1に輝く吉祥寺の象徴である井の頭公園まで徒歩1分の戸建住宅が2,000万円以下?で競売となります。

これなら誰でも欲しいですよね。
嘘のようなホントの話ではありますが、理由は後ほどご説明します。

 

まず、物件概要です。

吉祥寺駅から徒歩10分と利便性が優れているにもかかわらず、用途地域は第一種低層住居専用地域と最も住環境の優れた用途地域に指定されています。

また土地はゆったりと52坪あり、地下にはシャッター付きの車庫があります。

 

続いて間取りです。

面積は、
1F:88.83㎡(26.87坪)
2F:47.92㎡(14.49坪)

とゆったりとした造りとなっており、暖炉・ロフトを設けた贅沢な仕様です。

 

なお、内部写真を見る限りは物が多く、やや雑然としている印象を受けます。

 

数箇所より雨漏りがあるという事ですが、この物件の価格を大きく落とす要因ではありません。

 

この物件が激安な理由は、

建物敷地の占有権利が「使用貸借」

であるという事です。

この「使用貸借」というのは、使用(利用)料は無償(無料)で有ることから、借地借家法という賃借人の権利を保護する法律に該当せず、賃貸人がいつでも解除することが可能であるというものです。

つまり、競売にて建物を落札して晴れて建物所有者となった当日に土地の賃貸人(地主)から、「使用貸借を解除するので建物撤去して出て行ってください」と言われる可能性が有るという事です。

 

本件敷地(土地)は、競売となった建物所有者の母が所有しているものであったことから、親子間の関係なので無償で土地を借りており、従って現時点(競売前)では(当然ですが)「使用借の解除」「訴訟の提起」は起こっていないとの記述があります。

 

 

裁判所の評価書では、この土地の利用権(占有権原)をどう評価しているかというと、

まず完全所有権の土地価格を618,000円/㎡(204万円/坪)に土地面積と補正率を掛けて、

土地値:1億1,079万円

とし、これに土地利用権等割合(場所的利益)として20%を乗じて求めています。

この20%の根拠として、

「売却により法定地上権(*競売等により土地建物所有者が異なることになる場合に、自動的に発生する土地の権利(地上権))は成立しないが、場所的利益は認められる。」と書いてあります。

私が賃貸人(地主)でしたら、建物が赤の他人に移ったら土地を直ぐに返して欲しい、すぐに返せないのであれば時期を決めたいという気がします。

なお「20%の法的根拠は、法的な保護が期待出来るか否か並びに建物の性質等を総合的に勘案して判定した。」とされていますが、競売評価書の定型文であり、競売評価人(鑑定士)も細かく調査・ヒアリング出来る機会も無いでしょうから、根拠は無いものと思われます。

 

もし賃貸人(地主)と借地契約を結べるという話が出来れば、本件競売案件は物凄いアップサイドシナリオとなりますが、当該敷地の権利が不明瞭なままで競売に参加する人がいるのか非常に興味がありますので、競売結果が発表されましたら再度アップデートしたいと思います。

 

仲田リアルエステート㈱

080-6631-3939

nakata.re@outlook.jp

 

 

2020年10月21日追記

本件土地の利用権の無い戸建住宅の落札金額は、

18,090,000円

と売却基準価格(18,660,000円)を下回った金額で法人が落札したとの事でした。

入札参加者数は3と、やはり土地の権利が不安定な本物件の状況を反映した入札結果であったと感じました。

 

仲田

080-6631-3939

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