「表参道」駅徒歩5分のマンションが1万円?

と驚きの価格となっていますが、「からくり」はあるはずなので詳細を見ていきましょう。

場所

ブランド店等が建ち並ぶ骨董通りの裏手に位置し、また表参道駅からも徒歩5分の至近に位置する好立地の物件と言えます。

またこの周辺としては、まとまった敷地面積を有しますので、再開発の際の土地の価値は非常に高いものと思料されます。

 

改めて物件の内容を確認します。

物件内容:地下1階駐車場 337.27㎡

利用方法:駐車場8区画+トランクルーム20個

 

そうですね、マンションではなく地下の駐車場という事です。

でも南青山の駐車場でしたら、賃料は5万円は下らず魅力的な投資商品となるでしょうから、期待を込めて内容を見ていきます。

 

本物件のレイアウト図です。

続いて物件の写真です。

都心部では貴重な平置き駐車場とトランクルームですので、賃借需要は高いものと考えられます。

 

駐車場については、5区画賃借(転借等を含む)されており合計178,280円(35,656円/台)収入があります。他の1区画についても現在空車ですが、賃料が見込めるものと思われます(その他2区画は消防法により固定式の水噴霧消火設備を設ける必要があり、賃貸不可)。

トランクルームは賃借・転借・再転借がされており、本件売買によりどの立場の借主が抜けて、新所有者はいくら貰えるのか確認が必要ですが、エンド賃料としては、178,280円/月賃料が発生しています。

 

ここからが、本物件の難しいポイントです。

まず滞納されている管理費等合計で、

29,274,669円(2019年8月時点)

あります。これは競売で取得したとしてもチャラにはならず、管理組合へ支払う必要があります。

 

続いて、

「建物の敷地利用権がない」と物件明細書に記載されています。

敷地利用権?て何ですか、と思うかもしれませんが、例えばマンションの1室を購入した場合に、そのマンション部屋(建物)に相応する土地の利用権が割り振られています。一般的には敷地権が設定され、その持分が○○○/××××と言った形で登記簿に記載されています。

しかし、本物件の場合には専有部分の建物表示があるにも関わらず、その敷地権割合が割り振られていません。

そのことを理由にしてかどうかは不明ですが、当管理組合法人からは「共用部」であるという主張の上告書も出されています。

仮に共用部と認定されてしまうと、所有権を主張できませんのでそのまま没収となってしまいます。

 

一方で、管理費:71,585円/月、修繕積立金:66,078円/月が管理組合から請求されているので、暗に権利を認めているとも感じられます。

 

では、評価書ではどう見ているのか見ていきます。

土地の評価としては、全体土地:2,379㎡に対する持分(4,402/237,937 *どの資料を参照しているのか不明)を掛けて、持分相当額の土地価格を出した後に、敷地権利用割合:20%を掛けて算出しています。

この20%の根拠としては、敷地利用権は無権原であるが場所的利用:収去されない利益としたと書いてありますが、私としては正直良く分からないです。

 

収益ベースの価格査定では、4年目のネットキャッシュフローを2,982,044円と算出しています。管理費・固都税等を引いた後の金額ですので、現在取れている水準以上の賃料が取れると想定しているようです。

ターミナルキャップレートを8.7%とし、収益価格を3,258万円と導いています。

 

築49年の本物件が将来永続する可能性は低いことから、積算価格よりの価格:1,700万円を査定額とした後で、滞納管理費が2,900万円以上あるので、評価額の結論としては1万円となっています。

 

今回は入札金額が幾らになるか、というより

これを買える人がいるのか?

という話になりそうです。

本敷地の利用権が法的に確保できることを確認出来る立場の人・本マンションの建て替えが近い将来起こらず比較的長い間収益が見込めると知っている人であれば買えるのかもしれません。

 

同時に誰も買わない区分所有権の滞納管理費は、結局だれが負担するのか・管理組合を通して所有者が分担することになるのかという問題も抱えていると思います。

 

皆様のご意見がありましたら、メール頂ければと思います。

 

この入札の結果は個人的に楽しみです。

 

仲田リアルエステート

080-6631-3939

nakata.re@outlook.jp

 

2020年9月3日追記

昨日開札がありました本件の入札結果をお知らせします。

落札金額は、

13,112,000円

でした。入札者数は11で、法人が落札したと記載されています。

滞納管理費が2,900万円以上ありますので、実質4,200万円以上での成約となります。

坪単価としては、412万円/坪です。

買手がどのような投資戦略に基づいて購入されたのか、権利関係についてはどのように考えているのか、聞いてみたいと感じました。

 

仲田リアルエステート㈱

080-6631-3939

nakata.re@outlook.jp

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2 Responses

  1. 仲田様
    感想になりますが、面白い記事ありがとうございます。このマンションの居住者ですが、当然コインパーキング設置しますとのお知らせを受け取り、???地下駐車場は倒産した建設会社(マンション施工会社?)が持っていただか何だかと聞いていた気がしたけど変わったのかな?と思っていたので、こういう背景だったのですね、納得できました。
    また、滞納管理費ですが、競売では落札者が一括で払うということなのですね。勉強になりました。管理組合にとっては良いニュースですね。

    • 居住者様

      ご連絡頂きまして、ありがとうございます。
      将来的な再開発で価値が化けるまで、コインパーキングで運用しておくというのは得策かもしれませんね。

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