(更新が出来ておらず、失礼いたしました。)
今回の価格査定として、
駅周辺で再開発が進んでいる新橋駅の東側に建つ
新橋駅前ビル
を対象としました。
新橋と言えば、駅西側の広場横に建つ「ニュー新橋ビル」のイメージが強いですが、「都営浅草線」と「ゆりかもめ」の乗り換え口である東側にも道路を挟んで昭和を感じられる新橋駅前ビル1号館・2号館があり、今回その5階事務所区分所有権が競売対象です。
Contents
1. 新橋駅前ビルについて |
2. 競売物件概要 |
3.入札価格査定 |
1.
新橋駅前ビルについて
まずは所在地を確認します。
「新橋駅前ビル1号館」は、新橋駅東口のロータリーを挟んだ向かいに所在していますが、新橋駅周辺は本件を含めた東側と西側の両側にて再開発の話が進んでいます。
両方の開発が完了するのは何時になるのか予測するのは難しいですが、古びたオフィスビル等が耐震性の優れた高層の利便性・高設備に生まれ変わることで、既存の所有者に大きな経済的恩恵を運んでくれるでしょうが、ガラスカーテンウォールの何処にでもある綺麗なオフィスビルとなり、新橋らしさは失われてしまうかもしれません。
さて、本件競売への地上からのアクセスは、遠回りになるので多くの人は地下1階から本ビルへアクセスしています。
本ビルが建設された1966年以前は、「狸小路」と呼ばれる飲み屋街であったようでその名残か、ビル正面入り口には「狸」が鎮座しています。
地下1階から2階は飲食店舗が軒を重ねており、一度建物に入れば即座に昭和にタイムトリップ出来る不思議な空間となっています。訪問日は土曜日のお昼の時間でしたので、サラリーマンは少数でしたが、入居している美食レストラン目的に訪れているお客さんも見受けられました。
特筆すべきは地下で、ビルの中なのに路地裏を感じることが出来るという異次元空間です。
3Fから9Fは事務所仕様となっています。10坪から200坪と大小さまざまな区画面積の事務所が入っていますが、空室と思われる区画は少ないように感じられました。
建物としては耐震工事は実施済みとの記載は有りましたが、確実に経年劣化しており、大きな地震の際の倒壊リスクやオフィス部分の仕様の経済的陳腐化が著しいことから、対象物件を含んだ広域的な再開発協議会を設立し、大成建設・三井不動産等と事業協力の協定書を結び、再開発へ準備を進めています(当協議会:リンク)。
当HPによると、現在は準備組合設立準備段階ですので、実際に建物の解体にたどり着くまでには最低5年は掛かるのではないかと思料します。
なお本ビルは230戸!の区分所有権に分かれており、更には賃貸借で入居している飲食店舗もありますので、権利関係の調整も一筋縄ではいかないでしょうから、再開発の実現までには相当の時間を要するのではないかと感じています。
2.
競売物件概要
競売対象は、5Fの中間画地で東側の第一京浜側に窓があります。
共用廊下は塩ビタイルであり、地方の役所等公共建物ではないかと思うほど、扉・共用壁の仕様は良くありません。
また廊下を歩いていて感じるのは、その天井の低さです。ネット検索では、2,350mm~2,500mmという数字を見つけましたが、感覚的には2,400mm程度だと感じました。
なお、本物件にはトイレが付いていませんが、オフィスフロアーであるので各階に共用トイレがあります。
ここでも昭和レトロを感じることになります。
権利関係について説明申し上げます。
謄本によると現所有者は当部屋を竣工翌年の1967年に取得し自社の事務所として使用しておりましたが、2021年11月に本管理組合法人並びに厚生労働省から競売開始決定がされ、今回の競売に至っています。
第三者への賃貸等は無いと所有者からの回答が記載されています。
なお、滞納した管理費並びにその遅延損害金が800万円超ありますが、この費用は本競売価格にて充当されることから減価要因とはならないとの意見書が追加されています。
3.
入札価格査定
以上を基に今回の入札金額を査定していきます。
競売評価書においては、売却基準価格として3,560万円(396万円/坪)と評価しています。
最有効使用の判定として、そのまま事務所として自己使用ないし投資物件として運用するのが最有効使用であると考えられます。
なお、投資物件とすると本築年数から考えてローンを引きづらい、また管理費がこの小さい部屋でも55,000円/月と高額である点が非常にネックとなります。
想定される賃料水準として、同物件で成約事例があるのですが概ね坪1.9万円~2.15万円程度です。
本物件の場合、おおよそ18万円/月の収入となり、強制的に管理費として5.5万円(賃料の30%)が持っていかれてしまうので、ネット利回りが著しく低くなります。
仮にNOI利回りで3.5%確保しようとすると、入札金額が2,800万円と売却基準価格程度となってしまいます。
一方で、地価公示水準での本件土地価格は3,952万円、実勢取引を公示×1.5倍で5,900万円、2倍で7,900万円と試算されます。
また、再開発され付与された事務所(面積は同一と仮定)を賃貸した場合の収益価格を試算してみます。
・坪30,000円
・経費率25%
・NOI利回り3.5%
とすると、対象物件の価値は6,937万円(771万円/坪)と試算されます。
以上のことを総合的に判断すると、築66年と建物の寿命もそう長くない事、時間が掛かるにせよ再開発の実現性があることから、自用の事務所として使う実需或いはしばらく寝かせても良いお金をお持ちの方が再開発後の夢を見つつ入札する(現状の収益はほとどん考えない)というのがメインシナリオではないかと考えました。
入札金額としては、現在の土地価格水準が確保され、再開発後の売却価格が1.7倍程度となる
4,000万円(449万円/坪)*基準価格✕1.43
を査定金額としました。
入札結果を待ちたいと思います。
仲田リアルエステート㈱
080-6631-3939
2022年4月14日追記
入札結果の日を迎えましたので、確認したいと思います。
「取下」
以上でした。
任意売却での取下げなのか、或いは諸事情等で取下げとなったのかが不明ですが、その後の経過が分かりましたらなりましたら改めて報告したいと思います。
仲田リアルエステート㈱
080-6631-3939
No responses yet