銀座の好立地物件が競売に出ました!

場所は、銀座の交差点から徒歩4分の事務所・ホテル等が建ち並ぶ利便性の高い所です。

 

土地の字型は、銀座に良くある奥行きの狭い長方形型ですが、合計130坪の纏まった土地です。

 

現地調査した当日は、1F店舗のシャッターは閉じており、またエントランス扉も施錠されていました。

 

建物は1958年築ですので、経済的寿命は全うしていることが写真からもわかります。

でも、場所が良いので1Fは満室・その他階もテナントが入居しています。

 

建物レイアウト図を載せておきます。

 

現在募集中の部屋

 

その他はマスターリース会社・建物所有者による自己使用となっています。

 

 

場所は誰もが欲しい立地で再開発でバリューが高まるにもかかわらず、競売になるということは何か問題・リスクがあるということでしょうから、その「からくり」を確認したいと思います。

 

物件概要

銀座地区の容積率については、「地区計画」で建物用途に応じて容積率等の割り増しが受けられますので、再開発を想定する場合、その場所での最有効使用用途の確認・割り増し容積率を検証するする必要があります。

コロナ前でしたら、「ホテル」にしようというわかりやすい絵が描けましたが、現在においてはアフターコロナも見据えながら考える必要があるでしょう。

 

 

本物件の「からくり」を探るため、まずは権利関係について確認を進めます。

なお、登記簿謄本を取得しようとしましたが、何らかの登記手続き中のため取得することができませんでしたので、3点セットに記載のある内容から整理してみます。

 

2009年8月27日:㈱ALL CORPORATIONが((有)ギンザエステートとの)譲渡担保契約に基づき所有権取得

2011年8月26日:上記譲渡担保契約の合意解除に伴い、(有)ギンザエステートへ所有権移転

同日に(有)ギンザエステート⇔㈱ALL CORPORATIONとの転貸借目的の賃貸借契約(マスターリース契約)を締結

2014年7月15日:(有)ギンザエステートを吸収合併し、現所有者である㈱大富が保有

*㈱大富の代表取締役は、㈱ALL CORPORATIONの代表取締役と同一人物

 

また、2016年にも本物件が競売がされていたとも記載されています。

 

事実として、関連会社間で所有権が回っているように見受けられます。

 

 

続いて、賃貸借契約を確認します。

前述の㈱ALL CORPORATIONがマスターリースとなっています。

しかも重要な賃貸借契約が「口頭」で行われているということからも、関連会社間での契約であることが推測されます。

契約書通りなら、賃料はオーナーへ費用控除なく支払われるので、㈱ALL CORPORATIONはテナント仲介と建物管理のみを行っていると読み取れます。

 

2020年7月の調査時点でのエンドテナントの契約は上記の通りです。

こんなぼろビルでも月額626万円入ってくるのですから、立地の良さをうかがい知れます。

(*なお賃借権譲渡契約に基づき、転貸人の地位が抵当権者に移転されていることを根拠に上記エンド賃料が抵当権者に支払われ、そのうちの200万円を建物所有者に支払っているという記述があります。)

 

 

以上「からくり」整理しました。

・所有権が関連会社間でコロコロ回転しておりきな臭い感じはするが、競売という合法的手続きにおいて落札する限りは大きな支障とならないと考えられる。

・マスターリース契約については、本競売に優先する賃借権であることから競売後でも買受人に対抗できることとなる。なお、契約書通り、賃料パススルー型であれば経済的には大きな支障とはならないが、再開発を想定した場合は困難に直面する可能性が非常に高いと考えられる。

・抵当権者が取得した転借人の地位について、「譲渡後の原賃借権は正常なものとは認められない」という裁判所の記述はあるが、当該転借権の譲渡の効力が、本競売後に無効となるのかが定かでない。

・サブリースのエンドテナントとの契約について、1Fがすべて普通借であり、その他の部屋も普通借が多くみられることから、簡単に再開発を進めることは難しいものと考えられる。

 

競売案件らしいといえばそれまでですが、評価が難しい案件であることが判明しました。

 

 

落札価格査定

まずは、土地の価格を査定してみます。

路線価は、5,490千円/㎡(1,815万円/坪)なので、2,359百万円となります。

競売評価書での土地単価は6,350千円/㎡(2,099万円/坪)で、2,729百万円と求めています。

 

現行ビルを収益目線で見ると、NCFを60千万円と同評価書では試算し、最終還元りを3.5%とし1,742百万円と求めています。

 

公示価格水準でさえ、売却基準価格の1.4倍となっていますので、いかに再開発価値を入札金額に乗せられるかがポイントだと思います。

 

再開発プランを入れて収益還元で試算し建物建設費用等を控除した価格から、想定される立ち退き費用・その他費用等を控除することで理論上は数字は出るのですが、上記のML契約並びにエンドテナント契約を考慮すると時間・費用が検討付かないことから、現行賃料水準で保有してても損はない水準としてGross利回りを2.0%として求めた金額に取得費用等を控除して、

3,572百万円 (2,745万円/坪)

(基準価格の1.84倍)

を落札金額と査定しました。

 

なお、更地としては6,300万円/坪程度のポテンシャルがあるものと考えています。

 

 

仲田リアルエステート㈱

080-6631-3939

 

 

2021年6月13日追記

 

去る6月9日が改札期日であった本銀座の競売ですが、

取下げ

となってしまいました。

 

謄本を取得できないということから、何らかの水面下の動きはあったのでしょうが、市場で売りに出ていた物件ですので任意売却で買手が見つかったのかもしれません。

 

再度、競売情報が入りましたらお伝えしたいと思います。

 

仲田リアルエステート㈱

080-6631-3939

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2 Responses

    • ご連絡ありがとうございます。
      再度、競売になったんですね。
      簡単な案件ではありませんが、立地が魅力的であり優良な売り物件が少ない中で、検討したい人は多いのではないかと思います。

      本記事をご覧の皆様と、有意義な情報交換の場となれば幸いです。

      仲田

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