社会問題となった「スマートデイズ」によるスルガ銀行と結託したかぼちゃの馬車のシェアハウス案件が競売に出ました。
登記簿を見て悲しくなりました。
本不動産所有者(債務者)は沖縄の個人です。
債権者(抵当権者)は、もちろんスルガ銀行。
合計3本の抵当権が入っており、債権額合計は1億1,610万円!(金利3.5%)
この方もスマートデイズによる長期の固定マスターリースが付いている事を安心材料に土地建物を購入(建設)し、シェアハウス運営に乗り出したのでしょうが、「突然サブリース契約を解除された」との内容が物件調査報告書に記載されています。なお、サブリース賃料は幾らであったかの記載はありませんでしたが、1億円以上の元本返済と金利(3.5%)を払ってでもプラスになる水準となっていたのではないかと思料します。
・借主の通帳・収入改ざん
・建設会社の費用割増し(→スマートデイズへのキックバック)
・スルガ銀行の不正融資
など、詐欺的なスキームにより個人投資家が騙され、社会問題に発展したことをご存知の方も多いかと思います。。
そのシェアハウスの中の1件と思われる物件が今回の競売案件です。
場所は、スカイツリーの北東側、荒川と隅田川に挟まれた地域で最寄りの東武伊勢崎線「鐘ヶ淵」駅からは、押上まで8分、大手町まで20分、新宿まで30分と交通利便性の高い場所です。
接道は、東側の私道42条2項道路にて接しています。なお、間口は2mと接道条件の最低限の幅となっています。
建物は検査済証を取得した遵法性のある築3年の物件です。
前面道路と対象地の動画を撮影しましたので、共有致します。
エントランスには鍵が掛けられており、入居者はいません。
物件概要書によると、部屋は12室で間取りは下図の通りです。
各階にキッチン・シャワー・トイレ・洗濯機が置いてあります(洗面所は1階のみ)。
共用のリビング・ダイニングは無いことから、シェアメイトと語らい・寛ぐといった施設では無いのようで、生活費を安く抑えたい入居者をターゲットととした物件であると感じました。
内部写真
共用設備のグレードも高いとは言えないですね。もう少し高い物を入れて、差別化を図りたいところです。
1部屋当たりの面積は、賃貸可能面積を70%とすると7㎡前後かと推測しました。
現在本物件は、賃貸募集していないのですが隣地建物にも、スルガ銀行抵当(債権額:1億8千万円、土地建物所有者は愛知県の個人)の瓜二つのシャアハウスが建っており、当物件は1.9万円で1室のみ現在募集しています(合計14部屋)
入札金額の査定へと進めます。
本物件は、シャアハウスですので収益価格がベースとなります。
隣地のシェアハウスの賃貸事例から、本物件の1部屋当たりの賃料は1.9万円と査定します。
グロス賃料は、1.9万円×12室×12(1年)=2,736千円
ざっくり計算のグロス利回り10%とすると、
2,736万円 (想定専有単価:95万円)*売却基準価格の135%
専有単価が安すぎですかね?
鑑定評価の積算価格が4,205万円、収益価格が3,458万円です。
建物が新しく積算価格も出るのでローンが引きやすい=売却価格の伸びしろが有ることを前提に、一部共用設備を入れ替えて設備グレードを上げたり・個室部分の家具家電を一部設置するなどする事で、賃料を上げてリーシングを行い、満室になったら個人投資家にローン付きで売却するという絵を考えました。
なお、シェアハウスの場合、リーシングが通常と異なるため一棟全てをサブリース会社に貸し出すことが多いことから、入居率変動型賃料(上限80%)でグロス利回り7%として、売却金額を4,114万円と査定しました。
2.5万円×12室×12(1年)×80%=288万円
グロス利回り:7%
売却価格:4,114万円(積算価格とも近似)
この売却価格を前提に、業者利益・リニューアル工事費用・流通税等を控除して、入札金額を
3,000万円 (売却基準価格×1.49)
と査定しました。
この価格水準であれば、「かぼちゃの馬車案件」でも投資魅力があると思います。
仲田リアルエステート株式会社
080-6631-3939
2021年3月3日更新
入札結果が発表されました。
47,888,888円
私が想定した売却価格:4,114万円よりも高い水準でした。
20社が入札に参加し、個人が落札と記載されていますので、直接エンドが購入したものと思料されます。
想定賃料(1.9万円×12室)に対するグロス利回りは5.7%となりますので、頑張った水準であると感じます。
*競売補正は必要であるにせよ、元オーナーが購入した1億1,610万円の価格は倍くらい高かったと言えるかもしれません。
仲田リアルエステート株式会社
080-6631-3939
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