激レアな底地案件が競売に出て来ました!

2020年9月10日が入札締め切り、開札は9月16日です。

 

 

そもそも「底地」とは何ぞやという方のために、説明します。

底地とは、土地の所有権ではあるのですが、その所有権の上に土地賃借権・地上権が付いている場合のその土地所有権を言います。

言葉では理解が難しいので図示しますと、下のような建物がありその建物所有者と土地所有者が異なる場合において、その建物の敷地の権利として借地権がある場合における、土地の権利(底地)を言います。

 

 

底地人は、自分の家・事務所を建てたり、駐車場として利用したりと言った自由に利用できません。

でも借地の契約期間が満了すれば借地権を解除して、完全所有権になるから良いじゃんと思われるかもしれませんが、賃借人を保護する「借地借家法」という法律があり、建物が存続する限り借地権更新をオーナーは事実上拒絶することが出来ません(正当事由要件)。

従って、本件の場合も、1950年に貸した土地が70年経った今でも返ってきておらず、後16年契約期間が残っています。

一度貸した土地は一生返ってこないと言われる所以がここにあります!

 

続いて場所の確認です。

 

外堀通りに面しており、東側には神田駅から続く西口商店街があります。

対象物件は大賀商店という名称で角地に立つ物件で、自販機・喫煙所が1階に設けられていました。

なお、隣接地西側が囲いで覆われた更地(地番3-10)となっていました。この隣地更地が面白い展開となるとは現地調査の時は思いもよりませんでした。

では、本土地(地番3-8)の権利移転と借地権の経緯を整理していきます。

本件土地は田中氏が1947年に取得し、その後相続人を経て2017年11月に㈱プラザホーム・マネジメントが取得、同年12月に「住友不動産」が売買予約の仮登記を設定しています。

借地権は、土地所有者田中氏と大賀氏(建物所有権登記はそのまま)との間で、1950年に20年を期限とする借地契約が結ばれ、その後土地賃借人の死亡に伴い相続人2名が遺産分割協議により借地権と建物を取得しています。なお、土地賃貸人の地位は、土地の売買に伴い㈱プラザホーム・マネジメントとなっています。

現在、「再更新土地賃貸借契約書」が締結されていると現況調査報告書には記載があるのですが、当内容については競売時においては非開示資料となっており、更新料の有無・その他特約事項があるのかと言った詳細内容は確認が出来ませんでした。

 

それと隣地(地番:3-10)ですが、2017年5月に㈱プラザホーム・マネジメントが取得し、「住友不動産」が2018年11月に取得している事が謄本情報から読み取れました。

 

ここからは推測となりますが、㈱プラザホーム・マネジメントが借地権の買い取り交渉が纏まりそうという話を住友不動産に持ち込み、借地買い取りが出来ることを条件とする停止条件付の売買契約を結び、仮登記を打ったのではと思いました(*隣地は約1年後に実際に取得しています。)

 

以上の事から、入札に最も参加して来そうなのは「住友不動産」だと思います。

 

では、この底地の価格の評価に移ります。

底地の価格も路線価を参考に価格目線を探る事が可能です。

対象地の面する道路の路線価は3,530Bと書かれています。

このBというのは借地権割合を示しており、本件の場合路線価3,530千円/㎡に対して80%が借地権、残り20%が底地価格となります。

従って、路線価に基づく底地価格は2,657万円(233万円/坪)となり、概ね競売の基準価格と同じ水準となります。

 

また底地を、月額6万円の地代が入ってきて、固定資産税額のみを支払えばよいという収益物件として価格を求めることが可能です。

本件の場合、72万円ー25.5万円=46.5万円を還元利回り:例3.0%で割り戻すと、1,550万円と求められます。

なお、現在の地代が固都税の3倍以下と商業地としては低廉であると考えられ、地代増額の可能性が有ることを付け加えておきます。

 

 

以上一般的な底地の価格の出し方を説明しましたが、

底地が魅力的なのは、万が一借地が返ってきた場合の価値の増分が半端ない事です!

上記路線価の例でも、20%で底地を買えば毎月地代が貰え、固都税だけを払っていれば良く、しかも銀行に預けているよりははるかに高い利回りがもらえ、もし借地契約が終了となれば80%の価値が天から降ってくることになります。

(借地権者から一体で土地を売りませんかと声かけされるケースが多いかと思いますが、その按分割合はもちろん路線価割合とはならず、底地人に有利になると思います。)

 

今回の予想落札金額ですが、この借地権がどの程度返ってくる可能性あるいは一体売却の話し合いが出来そうか、という角度次第で強く踏み込めるかどうかが分かれると思います。

既に話し合い等で事情をしているであろう「住友不動産」が強気で来れるのかが見物かと思います。

なお、本件土地は11坪しかないので、単独開発ですとEV無しの3階、4階建てが現実的に思えます。

隣地の9.2坪の土地を加えて一体開発した方が容積率が使え、売却時においても市場性のある建物となるものと考えられることから、この点でも隣地を保有している「住友不動産」は優位であると思います。

 

私の今回予想金額は、上記の借地権買い取りの可能性が全く読めないのでその可能性を除き、純粋に収益物件としても成立(増賃は想定)する金額として、

3,200万円 (2,810千円/坪) 売却基準価格の1.5倍

と予想しました(今回、全く自信がありませんが・・・)

 

入札結果を待ちたいと思います。

 

仲田リアルエステート㈱

仲田

080-6631-3939

nakata.re@outlook.jp

 

2020年9月16日追記

 

予想はしていましたが、落札価格は

6,318万円(632万円/坪)

と私の2倍弱の金額で法人が落札しています。参加者数は13でした。

 

私の土地価格(完全所有権)の価格は、開発法で184百万円(1,600万円/坪)と試算していましたので、その34%相当

あるいは、

固都税の5倍へ増賃後の底地を投資商品として、ネット2.0%で売却した場合の価格想定:6,400万円

となりました。

 

改めて、底地案件は投資戦略次第で数字が変化するので、魅力的であると感じます。

 

仲田リアルエステート㈱

仲田

080-6631-3939

nakata.re@outlook.jp

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