中野区・築浅・駅至近

のアパートの競売です。

 

前回査定したかぼちゃの馬車案件(詳細はこちら)案件が高値で売れたことを考えると、本物件も高値となるのでしょうか?

 

最寄駅の「沼袋駅」は、西武新宿線に所在し高田馬場より4駅で7分ですが各駅停車しか止まらないので、特に日中の運行本数は10分に1本と少ないです。

駅からは徒歩5分と便利な場所です。なお、新井薬師前からも7分でアクセス可能となっています。

なお、グーグルマップでは1つ北側の建物がプロットされていますが、対象物件はその南側の建物です。

 

 

建物ですが、その奇抜な色合いを見てお気づきの方も多いかと思います。

敷金・礼金・仲介手数料全て0円を謳い賃貸管理運営を行っているハウスポートとその管理会社である㈱バジリカ物件です。

かつて、賃借人との間で訴訟になったこともあったと記憶しています(詳細はネットで検索頂ければと思います。)が、現在はどうなのでしょうか?

 

敷金も借主から預らないとなると、賃料未払いが発生するとオーナー側の補填手段が無いので、即座に強硬的な手段を取らざるを得ないという事は道義的には理解できますが、敷金を預からない事でテナント募集に有利に働いている限り、そのリスクは貸主側が負うべきであるとは思います。

 

では、物件概要を見ていきます。

 

本土地建物の所有者は、埼玉の法人(不動産会社)です。

恐らくですが、ハウスポート・㈱バジリカグループである㈱ハウジングバンク社にて土地を紹介され、当地に建物を建設し、そのマスターリースとして㈱バジリカが借上げするという仕組みで購入されたものと思われます。

なお、借り入れは群馬銀行より1億円(金利:1.05%)したことが謄本より確認出来ます。

 

当地の北側南側隣接地には、オレンジ色と青色の同タイプのアパートが連棟しており、同じように投資家に販売して1棟借上げを行っているのではないかと思います。

 

建物間取り

 

内部写真

 

ロフト付きです。

浴室は無くシャワーのみですが、その分バストイレ別となっています。

その他は通常アパート仕様です。

 

賃貸借契約内容

既にご説明の通り、㈱バジリカによる1棟マスターリースが入っています。

この賃貸借開始日と抵当権設定日が同日ですが、物件概要説明書においては賃借権が「最先」となっており、競落後においても賃借人は合法的に賃借することが可能です。

 

当契約内容を見ると、延床面積基準で坪@15,750円と非常に高額です。

(*賃貸管理費用も自動的に付いてくるので、実際の振込金額は429,500円)

 

下の現行サブリース先の賃料合計と比較するとその高さが際立ち、201号室の空室を54,000円するとちょうど523,000円になります。

つまり、マスターリース賃料と100%想定のサブリース賃料が同額という事になりますので、空室が1日でも発生すると逆ザヤとなります。

 

エンドテナントの面積はインターネット情報から入手したのですが、これが正しいとすると共用部分(廊下等)も貸室面積に含めているものと考えられます(実際の貸室面積は上記表示より少ない)。

 

 

なぜこれほど㈱バジリカのマスターリース賃料が高いのか?

理由としては、㈱ハウジングバンク社の「オーナー皆様に安心安全なアパート経営にて幸せなアパートを届ける」というモットーに、1億円の借入でもほとんど自己資金の持ち出しなく運営できる水準で関連会社である㈱バジリカにマスターリースさせるという手段を取っていると考えられます。

1億円、金利:1.05%、20年の元利均等返済だと462千円/月となるので、ビンゴですかね?

仮に、ローン返済まで当該マスターリース賃料が絶対に減額されないという事であれば、オーナーにとっては全く問題無いどころか、とても嬉しい話ですが実際はそうでは無いと思います。。

(*これは、「レオパレス」の一括借上げ賃料の減額で社会問題となった話と根は同じです。)

 

 

入札金額査定

 

競売評価書の競売補正前の

積算価格:7,232万円

収益価格:6,143万円(NCF利回り:7.0%)

です。

積算価格の土地価格は、162万円/坪で試算。

周辺の土地販売事例で20坪4,750万円というものがあり、4,500円で成約と仮定すると225万円/坪なので、実勢価格はもう少し高いと思料します。

収益価格は、総収益を429千円/月と試算しているので、マスターリース賃料を採用しているものと思います。

 

今回の入札査定金額の収益価格の考え方について、㈱バジリカによるマスターリースは法的には残るとはしつつも、将来において解約通知・減賃要請を受けた際に、通常賃貸において想定される本物件の本当の実力であるキャッシュフローを元に試算すべきと考えました。

・想定総収入は、現行サブリース賃料を採用

・空室率を5%と査定。

・テナント募集費用を計上

 

以上より、

NOI:4,126千円

NOIキャップレート:4.5%(グロス利回り:6.8%)

売却金額:9,170万円

 

 

当売却金額を元に、取得時の不動産流通税・業者利益・売却手数料等を控除して、

7,500万円(基準価格×1.4倍)

と査定しました。

 

直近の競売落札価格の上昇傾向を受け、出口のCap Rateを下げて査定しました。

 

入札結果を待ちたいと思います。

 

 

仲田リアルエステート㈱

080-6631-3939

 

2021年3月17日更新

 

結果発表です。

8,028万円

で法人が落札しました。入札数:16

 

投資家の代理入札か不明ではありますが、売却基準価格の1.5倍で現行賃料(費用控除前)に対するグロス利回りは7.8%となります。

 

競売の落札傾向を研究する必要を改めて感じた案件という結果となりました。

 

仲田リアルエステート㈱

080-6631-3939

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